文学作品の舞台になった西宮を訪ねて 西宮文学回廊

貴志祐介/極悪鳥になる夢をみる

甲子園球場、甲子園界隈

あらすじ:

デビュー以来の貴志祐介氏のエッセイを集めた一冊。
タイガースを愛する西宮市在住の氏のエッセイ集には、第7章を中心に阪神タイガースや甲子園球場、甲子園界隈の描写や内容が実に懐かしく出てくる。


作品より引用

仕事場のある西宮駅と実家の最寄の甲子園駅を往復する生活になった。どちらの駅前にもアイビー書房という地元では有名な書店があるが、数年後、阪神・淡路大震災により、両店とも全壊してしまった。(中略)ところが、震災後一年後ほどのうちに、アイビー書房西宮店、甲子園店とも順次再建される。(中略)その日は遅くまで、ぴかぴかの店内で何か買う本はないかと探し回ったものだった。


 我が家から徒歩数分の場所には、甲子園球場がある。タイガースの攻撃中には、窓を開けるだけで、誰が打席に立っているか、凡退したのかヒットを打ったのかがわかるくらいの距離だ。
 その手前、高速を挟んで駅寄りには、ダイエー甲子園のオレンジ色のマークが見える。甲子園の観客には、ここで食料を買う人も多いため、試合がある日は、建物に入りきらないほどの混雑となり、妻は買い物に行きたがらない。


 甲子園球場の隣にあった阪神パークは、昨年(二〇〇三年)、惜しまれつつ七四年の歴史に幕を閉じた。戦前は鯨を飼っていたこともあるそうだが、最大のスターはと言えばやはりレオポンだろう。



初出

青土社刊 2013年9月(エッセイ集としてまとめた時期)


出典

文春文庫(文芸春秋) 2017年4月10日 第1刷


貴志祐介と西宮のかかわり

実家の最寄り駅の甲子園駅(改修前と改修後)
実家の最寄り駅の甲子園駅(改修前と改修後)
文中に出てくる「ダイエー甲子園店のオレンジ色のマーク」も、その後イオンとなり今また新しくなろうとしている。(2014年撮影) 
文中に出てくる「ダイエー甲子園店のオレンジ色のマーク」も、その後イオンとなり今また新しくなろうとしている。(2014年撮影) 
球場近くに住む人は、窓を開けただけで誰が打席に立っているかがわかるほど、街中に溶け込んでいる甲子園球場
球場近くに住む人は、窓を開けただけで誰が打席に立っているかがわかるほど、街中に溶け込んでいる甲子園球場
戦前の阪神パークにはクジラもいたというが、その頃の施設の残骸が残る甲子園浜
戦前の阪神パークにはクジラもいたというが、その頃の施設の残骸が残る甲子園浜