野坂昭如/火垂るの墓

香櫨園海岸・夙川公園(堤)・満池谷

火垂るの墓 野坂昭如

あらすじ:

幼くして両親を失った清太と節子。2人は遠縁の小母を頼り西宮へ移るが、食糧難からも余計ものにされ、2人で横穴で生活する。食べることも儘ならない状況での幼い命の放つ輝きを描き、アニメ映画化もされた。第58回(1967年下半期)直木賞受賞作。

作品より引用

夜に入ると、すぐそばの貯水池の食用蛙が、ブオンブオンと鳴き、そこから流れ出る豊かな流れの、両側に生い茂る草の、葉末に一つずつ平家蛍が点滅し、手をさしのべればそのまま指の中に光が移り、「ほら、つかまえてみ」節子の掌に与えると、節子は力いっぱいににぎるから、たちまちつぶれて、掌に鼻をさすような生臭いにおいが残る、ぬめるような六月の闇で、西宮とはいっても山の際、空襲はまだ他人ごとのようだった。

出典:『アメリカひじき・火垂るの墓』 1972年1月 新潮社
初出:「文學界」 1976年10月 6号

野坂昭如と西宮のかかわり>

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