水上勉/櫻守

武田尾・武庫川

あらすじ:

丹波に大工の子として生まれ、14歳から京都の植木屋へ奉公して以来、48年の生涯を終えるまで桜を守り育てることに一生を尽くした庭師弥吉の物語。 少年時代、母と祖父が満開の桜の下、笑っていたところを見て以来、弥吉は桜に対して特別な感情を持つ。桜の縁で結婚し、戦前、戦後と価値観が変わっていく中で、失われていく日本の桜を守ることに心血を注ぎ、その美しさへ愛情を注いだ弥吉の人生が描かれている。

作品より引用

武田尾は武庫川に沿うた古い鉱泉村で「たまや」のほかに、「河鹿荘」「武庫川館」「やまだ」といった古宿があった。(中略) 竹部の演習林は、この武田尾の地籍になっていて、駅から近かった。桜山のてっぺんへ登ると、ななめ東に、鉱泉宿のならんだ武庫川が一望できる。

出典:『櫻守』 1976年4月 新潮社
初出:『桜守』 1969年5月 新潮社

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