北山学園(六甲郊外学園)
あらすじ:
作者自身の波乱に満ちた人生の、物心ついた時期からその青春の一時期を描いた作品。作家になった原衝動や女を初めて知ったことが青春の暗い川に浮いた白い花にたとえられ、黒岩作品の土壌を感じることの出来る作品である。
作品より引用
そういう虚弱体質だった私は、小学校五年の時、私の身体を心配した両親によって、六甲の郊外学園に送られた。そこは、虚弱体質の児童ばかりを集めた学園だった。私はそこで一年間過した。自分の身体へのコンプレックスが私の胸に刻み込まれたのは、その頃からだった。
出典:『黒岩重吾全集 第二十二巻』 1984年3月 中央公論社
初出:「オール讀物」 1971年8月 8月号