東野圭吾/幻夜

甲子園、西宮の住宅街

幻夜 東野圭吾

あらすじ:

阪神大震災が起こったその日、水原雅也は叔父を殺した。それを見ていた美女、新海美冬と手をとり、東京に向かう。「あたしらは、夜の道しかない。」と言いながら、緻密な策を弄して出世していく美冬の影となり、手足となる雅也。しかし、徐々に自分が美冬にだまされていたことが明らかになる。ベストセラーの「白夜行」の姉妹作とも言える長編ミステリー小説。

作品より引用

大地震から三日目のことだった。奈良から難波経由で梅田まで出るところまではスムーズだったが、その後が難関だった。電車の本数が少なく、しかも甲子園までしか行けない。そこから先は歩くしかなかった。(中略) 甲子園に着くと、彼女は線路づたいに歩き出した。同じ方向に歩いていく人も多い。悲嘆にくれた背中を眺め、まるで戦地のようだと彼女は思った。

出典:『幻夜』 2007年 集英社刊 より
初出:「週刊プレイボーイ」 2001~2003 No.19/20号~No.16号

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