竹友藻風/鶺鴒

仁川、門戸厄神、武庫川、など

あらすじ:

関西学院の教授であった竹友は当時、仁川に住んでおり、鳥や書物、個人への追想を語った作品集『鶺鴒』を上梓する。そこには、近所に現れる鳥たちや上ヶ原、武庫川の川辺を散策した時の様子が描かれている。1930年代の仁川あたりの様子を知るにも適書である 。

作品より引用

「斯ういふ真似はちよつと出来まい」――と、誰に言ふともなく独言を言つた時には既に五ヶ山といふ丘の一角に立つてゐた。目の下に神戸水道の水源地があり、その向ふに関西学院の時計台、更に向ふには神戸女学院の建物が見える。仁川の水路は右へ左へと迂曲しながら武庫川へ続いている。大部分は砂地であるから、くつきりと白く、両岸に赤い屋根や黒い屋根を点綴して村落の存在を示してゐる。北の方を見ると、青空の下に六甲があり、六甲の下に観音岳があり、観音岳の下に甲山があり、甲山の下はこの五ヶ山で、丘叉丘の連続である。

出典:『鶺鴒』 1942年6月 七丈書院
初出:『鶺鴒』 1942年6月 七丈書院

竹友藻風と西宮のかかわり>

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