阪急夙川
あらすじ:
根っからの江戸っ子、谷崎潤一郎。彼は関西の文化に触れた時、何を思ったのだろうか?当時の関西・関東の文化や人々の違いを、独自の感性で切り込んだ随筆。
作品より引用
関西に於ける最もハイカラな区域と云へば阪急の夙川から御影に至る沿線であつて、あの辺に住んでゐる若夫人や令嬢たちは、随分洋服の眼も肥えてゐるし、趣味も進んでゐるし、金に不自由はないのだから、毛皮、手袋、ハンドバツグの好み迄ソツのあらう筈はないのだけれども、それでいて何処かスツキリとしない。
出典:『谷崎潤一郎全集 第二十巻』 1982年12月 中央公論社
初出:「中央公論」 1932年 2月號~4月號