夙川周辺
あらすじ:
1936年に出版した『もめん随筆』がベストセラーとなった森田たま。『続もめん随筆』は、随筆家として活動し始めた彼女の2作目の著作。
作品より引用
「故郷の味」石と硝子を贅沢に使つて、もちろん材木も日本のものばかりの、北山杉の柱など入れてある貸家を、心おぼえにうつしとつておいたので、時時それを出して眺めると、そこの二階の北側の窓をひらけば、すぐ眼の前に夙川の松林がつづいてゐて、その向うにおもひのほか急な角度で立ってゐる 六甲の山の姿が、なつかしく浮かんでくるのである。
出典:『続もめん随筆』 1937年4月 中央公論社
初出:『続もめん随筆』 1937年4月 中央公論社