甲子園駅周辺、門戸厄神駅周辺
あらすじ:
阪神甲子園駅の近くにあった私立の進学校へ、高校から隣町の公立中学校から編入をした哲郎。
勉強の遅れを取り戻した2年生になった時に、友達の誘いで新聞部に入部する。
新聞取材で近隣の女学校に訪問したり、文化祭では学校の歴史について調べたりして部活動を通じ、友達との関係を深めていく。
勉強についていけずに退学をする友達、将来官僚になることを目標にする友達、勉強以外の幅広い知識を持つ友達など個性豊かな生徒と、組合活動をしている教師達とのつながりの中で、今まで知らなかったことを経験し成長をしていく。
裕福な家庭ではなかった哲郎は、自分が友達と違う家庭環境に置かれているのを感じ、父親が職場で怪我をしたことをきっかけで、工場でのアルバイトを始める。社会で働くことの厳しさ、人間関係の複雑さも知る。
2年生から3年生になるまでの学校生活が、校内の様子も一緒に描かれている。将来の進路を模索しながら部活動を終え、哲郎は受験一色の3年生の春を迎える。 1960年代のK高校が舞台。
作品より引用
「ああ、今年も優勝すると思うよ。ねえ、これから野球を見に行かない?ピッチャーは村山だよ。今からでも外野席なら空いてると思うけど。」
K高校の生徒が利用をしていた甲子園駅西側の改札口。野球観戦客の利用はなく生徒専用になっていた。
新聞取材で行ったK女学院。1933年ウィリアム・メレル・ヴォーリズの設計。建物の間が回廊でつながっている。
ライトが設計した「甲子園ホテル」を見に行く。途中甲子園駅のガード下で「枝川橋梁服本線橋脚部」の文字を見つける。今の甲子園筋は枝川を埋め立て造られた道路。
学校から正門の方向を見ると、こちらの松林と向こうの松林が見えて、昔はその間が川だった・・・と友人が哲郎に教える。
出典:『浜風受くる日々に』2008年10月10日 初版 新日本出版社
初出: 「しんぶん赤旗」に連載 2008年1月1日~6月12日