宮本 輝/花の降る午後

甲陽園/甲子園

あらすじ

夫の死後、神戸北野町にある、フランス料理店 アヴィニョンを33歳の若さで引き継いだ典子はスタッフに囲まれて働いていた。
4年がたった頃、店に尋ねて来た見知らぬ青年は、夫の死の直前に志摩半島で買ってもらった絵の作家であるという。やがて二人は同じ時間を重ねていくことに。
一方、アヴィニョンを狙う人がいることがわかるが、魔の手が着々と忍び寄ってくる。
仕事に没頭していた典子の心の空白に、若い画家との恋が、典子に幸せとは何かを気づかせ、夫から引き継いだ店の経営者として、また一人の恋をする女性として幸福を求めていく。



作品より引用

水野と松木かづ子とが、週に一度、それも休店日の日曜日ではなく火曜日の午後に、甲子園の近くのホテルに入り、約2時間後に出て来ることを知ったのは、7月下旬である。

水野は、社長の奥さんにJEBの会の料理部門のアドヴァイザーにさせてくれと頼み込んで近づき、甲子園のラブ・ホテルに無理矢理連れ込んだんです。

神戸市内の救急病院にいったん収容されたあと、リード・ブラウンは西宮の甲陽園からさらに六甲山を昇ったところにある静かな病院に移っていた。「・・・夜になると、窓から神戸の海や大阪湾どころか、和歌山あたりの港の灯も見えるって言うてはったけど、本当?


出典:昭和63年4月5日初版発行 平成元年10月10日 14版発行 角川書店
初出:昭和60年7月~61年2月「南日本新聞」「新潟日報」「徳島新聞」
    「北日本新聞」その他

宮本輝と西宮への関わり

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