夙川・片鉾池
あらすじ:
中村憲吉は故郷の広島を出て進学のため上京、東京帝国大学を卒業後1920年(大正9年)4月、当時の兵庫県武庫郡西宮町香櫨園に居を構え、1921年(大正10年)年から1926年(大正15年)まで大阪毎日新聞の記者を勤めた。
その間、池を詠んだ歌が『しがらみ』に収められており、あとがきには「摂津国六甲山麓、鉾池庵にて之れを記す」とある。
その後この『しがらみ』の歌も含めて編んだ自選歌集『松の芽』にも「摂津西宮市外鉾池山荘にて記す」とのあとがきがある。
作品より引用
<池の家>
池の家に夜かげつのりぬ宵ふけて屋根一ぱいに雨のふる音
<冬柳>
冬にいる寂しさもてり池水のひたに照りかへす二階に居りて
出典:『織田作之助全集 5』 1970年6月 講談社
初出:「新生」 1946年3月 3月号。