香櫨園 苦楽園
あらすじ:
歌人であった中村憲吉の、大正9年5月3日づけ、平福百穂宛への手紙
作品より引用
漸く大体落着けたので諸方へ手紙書きます。(中略)家は西宮町外の香櫨園で故ウオーターシユートのあつた池の端にあります。池そのものは古いものだと申します。左手にすぐ夙川を挟んで両側に老松の並木があります。赤い大きな日がそこから上ります。夜は月が松頭から池面に映ります。(中略)六甲山腹の苦楽園ラジューム温泉にはここから二十分で参ります。
出典:『中村憲吉全集 第四巻』 1938年10月 岩波書店