南西部

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薄田泣菫/艸木虫魚(老和尚とその弟子)

海清寺 あらすじ: 「艸木虫魚」という言葉はない、山川草木、鳥獣虫魚の下半分を繋ぎ合わせ生きとし生けるものを意味しているのか。どこを読んでもつい笑ってしまう。「笑いの機微に通じた」「人間喜劇の小景集」である。 作品より引用 「老和尚とその弟...
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須賀敦子/『遠い朝の本たち』の「小さなファデット」

夙川 あらすじ: 須賀敦子の遺著。病床で最後まで手を入れ続けた本で、著者にとって想い出の深い、自身の記憶の中の本をめぐる物語。遠い記憶をたどるように語られている。 作品より引用 私たちが幼年時代をすごした家は、六甲山の山すそがもうすこしで海...
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須賀敦子/ヴェネツィアの宿

夙川 あらすじ: 自身の少女時代から、留学時代に出会った人たちの想い出、父や母、おばとの思い出や葛藤をなど自身の心の内を描いたエッセイ集。 作品より引用 父がふたつの家庭をもっているのを知ったのは、私がはたちのときだった。いろいろ話したいこ...
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司馬遼太郎/菜の花の沖

戎神社、西宮港 あらすじ: 『菜の花の沖』の主人公、高田屋嘉兵衛は1769(明和6)年、淡路島都志本村(現・兵庫県洲本市五色町都志)に生まれ、寛政2年(1790年)、22歳の時に叔父の堺屋喜兵衛を頼って兵庫に出てきた。堺屋は兵庫と因幡や伯耆...
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司馬遼太郎/俄―浪華遊侠伝―

戎神社、西宮港 あらすじ: 「ワイの一生は一場の俄や」という伝説の侠客の生き様を描く。父親の逐電により、数え十一歳で一家を養わねばならなくなった万吉は、賭場を荒らし、「殴られ」て日銭を稼ぐ。それで莫大な金をもうけ、遊侠として名をあげ、最後に...
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司馬遼太郎/世に棲む日日

西宮港、街道 あらすじ: 荻松本村の藩士、杉百合之助の次男として生まれた吉田松陰は、幼くして藩の山鹿流兵学師範の家柄である吉田家を継ぐ。そのため、猛烈な勉学を強いられる。実叔父・玉木文之進から教え込まれたのは、「侍とは何か」「私」を捨て、「...
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金子光晴/流浪

西宮戎、西宮港 あらすじ: 自伝的作品。若い養母に育てられ、早くに性に目覚め、反抗と放蕩を繰り返した後、森三千代と結婚する金子。だが、三千代は、他の男と恋に落ちる。金子は生活の困窮と三角関係という状況を打開するため、ヨーロッパ行きを三千代に...
その他

金子光晴/新造船

西宮港 あらすじ: 金子は関東大震災後の1976年10月ごろ、実妹の婚家先に滞在していた。その頃の西宮港を詠んだ散文詩。 作品より引用 白枯れた兼葭に白雲とび  新造の木船は其蔭に繁れてゐる。  おゝ、新しい木材の香よ!その素朴な組合が、高...
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小松左京/歌う女

夙川界隈、酒蔵周辺、福応神社 あらすじ: 作者自身を彷彿とさせる主人公で語り手の「茂木」は、戦前戦中を暮らした関西のN市(西宮市)のようなイメージの土地に住むのが夢であった。けれど、戦後、N市に戻るのはいやで、よく似た環境にある隣の市の山裾...
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小松左京/くだんのはは

香櫨園、夙川界隈 あらすじ: 太平洋戦争末期、語り手の僕は芦屋にあった実家を空襲で焼かれ、父親と二人、茫然自失していた。そこを、かつて家政婦として通っていたお咲さんの世話で、彼女が現在仕事をしているお屋敷に、僕だけ住み込むことになったのだっ...